隅田川にほど近い数々の名所に囲まれた、観光客に人気のエリアである東日本橋に位置するホテルです。間口5m・奥行12mとコンパクトな敷地に、1フロア1室・高さ約31m・10階建のいわゆるペンシルビルとして計画しました。過密な都市部の象徴ともいえるフォルムです。
ホテルの表側は靖国通りに面し、客室とエントランスを配置しています。客室は南側に大きく開けた明るいワンルーム形状で、忙しなく行き交う東京の景色を望むことが出来ます。裏側は静かな通りに面し、避難口と従業員通用口を配置しています。
ファサードは、何層にも屋根が重なる塔の建築様式に着想を得ています。軒先を連想させる外壁を形作るルーバーは、通行人の視線を遮り、宿泊客のプライバシーを守ると共に室内天井につながり、建物内外の連続感を持たせています。
旅行客が今昔の日本らしさを肌で感じられるよう、客室には日本古来の建築要素である木・左官壁・畳を用いつつ、ネオンライトやシャープなディテール等現代的な要素と組み合わせています。
客室は、ダブルベッドの配置、畳間やソファとの組み合わせにより異なる3タイプの間取りとしました。水廻りはコンパクトにまとめ、居室側と障子形状のガラス戸で仕切っています。壁一面の収納内に、クローゼット・洗濯機・冷蔵庫・デスク・テレビ等様々な機能を集約し、宿泊客の利便性に配慮しました。