東京都心の閑静な住宅街に位置する、5階建ての集合住宅です。
容積を確保しつつ周辺地域に馴染むよう、配置と建物形状に配慮しました。隣地側に避難通路のスペースを確保し、道路に面した他の3辺と同様の周辺環境としました。斜線や採光のため4辺全方向に菱形の断面形状を採用し、地上レベルからのスケール感を近隣建物に近づけました。外周部に生まれたスペースには、緑豊かな植栽帯を設け周辺環境に配慮しました。
外観を特徴づける帯状の腰壁は、建物を取り囲むテラスの手摺であると共に、プライバシーを保つバッファーとなります。各住戸からは、視線を気にせず広がる街並みのパノラマビューを楽しめます。構造要素を建物中央部に固めることで外周部の構造負担を軽減し、ガラスの軽やかなファサードを実現しています。
エントランスは、植栽スペースをぬけるアプローチの先に位置し、中央共用部のエレベーター・階段へ通じて各住戸へアクセスします。共用部は、間接照明と黒を基調とした落ち着いた雰囲気とし、スリット状の片持階段が上部天窓とつながり光と風を導きます。各住戸は、玄関から明るい室内・テラス・その先の街並みまで直線的につながり、共用部とは対象的にメリハリのある構成となっています。ガラス越しのテラスは、室内とつながり広がりを与えます。各住戸は、25~100m²程度のサイズも間取りも異なる22戸から構成され、居住者の多様なライフスタイルにフレキシブルに対応しています。